2014.11.1
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ポジションということ
10番ではなく、6番か8番で香川を試したい・・・これもファン・ハール監督のオランダ人気質を端的に表す発言です。
監督は選手を一つ一つのファンクション、駒として考え、チェスのゲームをするようにゲーム展開を考えるタイプなのです。
アタッカーよりもこうした中盤での登用の方が、日本人のパーソナリティは発揮されるだろう、ということは述べました。ここではさらに一歩進んで、では選手としての幸せは何か?ということを考えてみたいと思います。
アタッカーとしてチームで存在をアピールし、ACミランの本田のように結果を出して、自己の存在を監督やファンに印象づける、というのも一つの手です。
ですがこれはまたとても過酷な競争を強いられる(Competitiveな)キャリアパスといわなければならないでしょう。はやり花形のポジションですから、競争相手も多いし、テクニックがものをいうでしょう。世界中の誰にも負けないテクニックがあれば別ですが、テクニックはプロとしては、そこそこ(英語ではacceptable)ということなら、かつてのインザギのように、よっぽど立ち回りをうまくしなければ、そのポジションを維持することはとても難しいのです。
このようなとても困難な(英語ではChallenging)な道を行くよりも、自分だけしかできない、そういう働きができるようになった方があるいは選手としては幸せかもしれません。
人の動き、挙動に気を配る、というのは日本人の強みですから、こうした強みが生かせるポジションで、自分の潜在的な能力を思う存分伸ばしてもらえる、そういう環境の方が、選手としてのキャリアを考えたときも、選手自身に大いにメリットがあるのではないでしょうか?
私はこのオランダ人上司の元で、自己の能力を200%に発揮して仕事をしていると思いました。それは、到底できない、絶対にムリだよ、ということをやってのけることができたからです。オランダ人は、200の結果を出そうと思ったときに、100の素材と別の100の素材を持ってきて200にしようとは思いません。もともとある100の素材がいかにして200の結果に結びつくか、これを考えるのです。なぜなら後者の方が、はるかに効率的で資源の無駄がないからです。
こうした背景を理解すれば、ファン・ハール監督は必ずしも選手にとって不幸な戦略転換を強いていたわけではなく、中長期的な視野にたって、選手の成長を考えていたのかもしれない・・・そう思わずにはいられないのです。