2015.10.28
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こうした環境にいたら、人々は、「今」を大切にするようになります。
将来のことを考えてあれこれ悩むよりも、「今」をいかに生きていくか、ここに重点を置くのです。
そして、今日のごはんを得るにはどうすればいいか、さらに今日一日楽しく過ごすにはどうすればいいか、こうしたことが人々の最大関心事になるのです。
その一日のなかでも、今、その時、その瞬間、瞬間にどれほど幸せでいられるか?かれらのマインドの焦点はさらにそこに絞られます。
サッカーにもこの姿勢が表れているのだと思います。
ブラジル人は、次のワールドカップのことや、自分の選手生命のことを、あれこれ考えてはいません。この一瞬、一瞬、「今」が勝負なのです。過去も未来もなく、今そこにあるボールと自分の前に立ちはだかるディフェンス、それが自分の人生のすべてなのです。
ですから自分の人間としての本能、これまで路上で身につけたサバイバルの知恵、これらをすべて投入して、その目の前にある難関を乗り越えようとします。そうしたときに、素晴らしいプレーが生まれます。人々が生まれた時からもっているスピリットが、難局脱出!のヒントをくれるのです。
そして、観客も、このスピリッツを見たいのです。将来がまったくわからない不安な中で、四方八方ふさがれて、ニッチもサッチもいかない、その現状がフィールドで再現されているのです。
ディフェンスに固く阻まれて、前に進めない、これは他人事ではなくて、自分の現状の姿なのです。即興で、機転を利かせて、活路を開く、これを見ている側は、サッカーの華麗な体捌きをみているのですが、同時に自分自身もそこに投影させています。
あざやかに敵を欺いて、さっと抜いていく、しかも笑いながら、楽しそうに、ディフェンスの裏をまんまとかくのです。フィールドにあるのは自分の窮した人生なのです。
●『ワールドカップが100倍楽しくなる ブラジル・ジンガ必勝法』
>>> ユキーナ・富塚・サントス著 セルバ出版 2014.6.10 224弾
>>> http://goo.gl/sZh4XX