サントス達のつぶやき

2015.12.8

思いやりと外資   17 理想の上司

yukina私がこのオランダ人の上司に絶大な信頼と尊敬を置き、そして、人間的にもしたっているのには理由があります。

この上司に、人間としての思いやりがある、ということです。昨今は日本に限らず世界中のどこにでも、堂々と自分の利益を追求する、まず自分、という価値観がいきわたっているような気がします。ですから日本人のアイデンティティではないかと私が思う、この「思いやり」があらゆる場面で見ることができなくなっている、そんな気がします。

東北大震災の直後、ドイツの銀行は自分たちの担保物件をいたく心配しました。壊滅しているのではないか、どれほどの損がでるのか、これが彼らの関心事でした。ですから、外資系の不動産金融をやっているところはどこも、「いったいどうなっているんだ!」「早く報告しろ、写真を送れ!」と矢のような催促をしました。

私も、本国ドイツからそう言われると思っていたのです。

ところが私の上司はこういいました。
「ユキーナさん、ローカル(現地)のプロパティマネジャー達をたたいてはいけない、彼らにはまず、彼らの家族・親類の無事を確認し、見舞わせてやってくれ、それがまず一番大切なことだ。」

私は一瞬、驚きました。失礼ながら、欧米の発想では、こんな時にローカルの人間を見舞って、仕事を二の次にする、というカルチャーはあるはずもない、と思っていたからです。

彼は、この上司は、私たち日本人を、お金のためにうまく使う道具、と思ってはいないのだ、同じ人間として、みてくれているのだ、そう思うと、心底、感謝の気持ちがわいてきました。

日本人・外国人、国籍、生まれのいかんにかかわらず、人間としての思いやりがあること、これが理想の上司の条件なのではないかと思います。

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