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2019.8.15

合気道がビジネスに生きる!

「それでもいざという場面では度胸を決めて戦わなければなりません。それは社長であれば必ず負わなければならない「責任」なのです。女性の中にも、「私がここで頑張らなければ」と奮起して、その迫力で相手をひるませてしまう人がいます。肉体的に頑健だと言うわけでもなければ、豪胆な気質を持っているわけでもありません。自分は社長なのだと言う責任感があるからこそ、それができるのです。」と稲盛氏は京セラフィロソフィの中でおっしゃっています。

今、真剣に、自分がここで戦うべきかどうなのか、これを考えています。その戦うべき相手とは、自分がお仕事をさせていただいているクライアント会社の社長さんです。この方は、若い時から出世街道まっしぐらで、社長までなられた方です。とても苦労もされてますし、経営者としての手腕は十分にあるのでしょう。しかし、ITなどはさっぱり疎いのです。けれども、未来の業界像を考える、未来のクライアントに対応する、などというテーマで新しいプロジェクトをやろうとしています。しかし、もともとご自身がSNSを駆使したり、最先端のテクノロジーについていこうとするタイプではないので、一昔も二昔も前のアイデアを持ってこようとするのです。

「そして、これはあくまでも提案です」とおっしゃってはいますが、「〇〇という案はどうでしょうか? ・・・を取り入れたらどうでしょうか? 〇〇さんをご意見番として参画いただくのはどうでしょうか? これについてプランを作っていただき、その案についてミーティングしたいと思います。私が可能な日程は◯月◯日のみになりますのでよろしく」このような調子でお話をしてくるのです。

「自分の形を持っていて、その形を力で押し通そうとしてくる」私はこのように捉えています。ちなみに合気道で1番最初に教わるのはここです。誰でも皆さん、自分の形を持っていて、あるいは「当然こうするもの」という常識と答えを持っていて、それを自分のありったけの力で無理矢理、押し通そうとするのです。合気道の初心者の方は相手と向かい合ったとき、最初にこのような投げ方をしようとします。

これは、自分の思う方向にチームのメンバーを動かそうとする態度ですから、チームメンバーから反発があります。このプロジェクトチームにはボランティアで入っている社外の方もいるので、ボランティアの人たちも含めてすべてのスタッフを無理矢理動かそうとしているという雰囲気が感じられるのです。

この社長さんに対して、真っ向から、「あなたのやり方では誰も動きませんよ、このプロジェクトは、誰のために、何のためにやるのですか?目的と意義を明らかにしてください。あなたの、社長さんの利益のためだけのプロジェクトならば、チームの人は誰もやりたいとは思わないはずです。」というのは簡単だと思います。これはガチで戦おうとしているわけです。真っ向から、正論をぶつけて、相手と戦う態度だと思います。

けれどもそれでは、本当に大切なメッセージが相手に伝わらないかもしれません。そして何よりこのプロジェクト自体が、うまく行かなくなっては困るのです。私は結果の妥当性を考えるわけです。

合気道の考え方やフィロソフィーをこのような仕事の場面で取り入れてみようと思います。

1 まず合気道では、力の流れを感じて、流れる方向に流す、という処理があります。

この社長さんの今までのメールの内容などをよく見てみました。一つ一つの言葉を注意深く見ていきました。そしてこの社長さんがこれまでやられてきたことをもう一度整理してみました。さらにこの会社の他の幹部の人ともお話をする機会がありました。ここから考えると、この社長さんが求めているのは、「自分が活躍する場」なのではないかと思ったのです。自分がこの先10年か20年、活躍して自分の得意分野を人に伝えたり、人に教える場が欲しいのではないか?と思いました。ITは1つの切り口であって、この社長さんが皆から尊敬される場面に居たい、これは社長が求めている流れなのではないかと思いました。

そうすると、その流れる方向に導いてあげれば、物事がすんなり運ぶと思うのです。プロジェクトはやりますが、そのプロジェクトの中で社長が今後活躍できる場を作る、ということにある程度エネルギーを割いていけば、力の流れる方向がわかり、その方向にムリなく「力」を流していけばいいのではないか?と思ったのです。

2 また合気道の考え方を利用すると次のような解決策もあります。発想を転換し、相手から掴まれているのではなく、相手につかませている、と考えること、これから自分が自由に動けるようになります。この社長さんの場合、命令されて、コントロールをされて嫌だ、自由にできない、と思うのではなく、この部分以外は全て自由、と考えるようにします。1番と重なりますが、社長さんのこだわりはシンプルな一点ですので、そこだけは望みを叶えてあげれば、他の部分は全く自由だといえるわけです。

3 そしてさらに、私は合気道の山口先生に聞いていました。「形と答えを持っている人がビジネスの相手だとしたら、どうしたらいいですか?相手が喜ぶことは読めます。相手の喜ぶことをすることができます。けれどもそれでは全体のためにはなりません。どうしたらいいでしょうか?」このように聞いてみました。山口先生はこのように答えます。「自然界のすべての生き物には役割がある。持ち合わせもある。持ち合わせはその役割に応じたものになる。少欲をいつも追い求めている人間には役割が限られているのだから、いわゆる大欲はわからない。小欲は、食欲や睡眠欲、名誉欲などの小さい個人の欲望を満たすこと、大欲は、宇宙の理を解明する、和を実現するなど利他の心に満ちた欲望であること。少欲に振り回されるものに、大欲を持つ者の発想はわからない。それは自然界の中で役割が違うということ。だから与えられた役割を懸命に果たせば良い。大欲を実現する役割がある人は、その役割を一生懸命果たしていけばいいだけ。」

さすがだなぁと思いました。そうすると、この社長さんの事は、放っておいてもいいし、前掲の1や2の対策をとってもいいわけです。ただそれよりも大切なのは、自分が自分の役割を一生懸命果たすこと、ということです。和を実現することが自分の役割だと思えば、和の実現に尽力すればいい。なるほどなと思いました。このようなことなのだと思いました。

自分の役割を考えるときに、UMIのブロック解消と潜在意識の書き換えの話がとても参考になりました。これはまた別の機会に詳しくお話しますが、感情の解放と潜在意識の書き換えをやっていくと、目の前の社長は、「私自身の心や魂の反映」であるとわかったわけです。ですから、相手と自分の間に何の隔たりもなくなりました。相手は何のことはない、自分の心の反映、自分の心が作ったものだと思いました。「エネルギーが奪われて辛く・悲しい・苦しい」私はこう思っていました。そして同じ思いはこの社長さんも抱いているのです。能力が発揮できずに苦しい、悲しい、これはこの社長さんも思っているのです。まさに他人は自分を移す鏡だったのです。相手と自分の間に隔たりがなかったのです。これも合気道の真髄と同じです。相手と自分が同一化する、ここに争いがなくなる、これが合気道の求める哲学の真髄だと思います。

明日はこれを英語にします

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