サントス達のつぶやき

2014.11.20

「いやッ!!それは言わないで!!」1聞きたくないことをあえて聞かせるカサンドラ伝説

yukina

さて、前回のアイデンティティに引き続き、今回も私、ユキーナ・サントスがつぶやかせていただきます。

うすうす判ってはいる、もしかしたら、こんな嫌な結果になるのでは、という心配がある、そんなとき、だれしもそうしたネガティブな内容を受け入れないようにしますよね。

現実になるかもしれないけれど、あえて、そこに触れたくはない。できることなら、考えたくない。

そんな不吉な内容を、あえて、あなたの耳元で、大声で打ち明ける人がいたら・・・

それは相当「嫌な奴」です。ちなみに英語では she is really nasty!! 嫌な奴、といいます。この「嫌な奴」の英語の言い方は別の機会に話しますが、自動翻訳やグーグルに聞くと“ass hole ”というとんでもない訳がでてくるので要注意です。

それでも、会社やプロジェクトのリスク管理として、そんな嫌な意見にもあえて耳を傾けなければいけない、そういう場合もあると思います。

こんな嫌なことを言う人、その状況、聞きたくない意見の処し方、今回はそれにフォーカスします。

最近、私は、とても親しい外国人の友人と話をしていて、カサンドラという言葉を聞きました。彼曰く、企業の中では立ち回りが大切、事実はひた隠しに隠して、トップに同調するのが大切、事実ではあっても誰もが聞きたくない、そういう内容はあえて言わないでおくこと、さもないとカサンドラになる!というのです。
ここで私はふと、カサンドラという言葉に気を止めました。
カサンドラとは、ギリシア神話の悲劇のキャラクターです。
彼女は、アポローンに愛され、アポローンの恋人になる代わりに予言能力を授かります。しかし予言の力を授かった瞬間、アポローンの愛が冷めて自分を捨て去ってゆく未来が見えてしまったため、アポローンの愛を拒絶してしまうのです。
憤慨したアポローンは、「カサンドラの予言を誰も信じないように」という呪いをかけました。カサンドラは、パリスがヘレネーをさらってきたときも、トロイアの木馬をイリオス市民が市内に運び込もうとしたときも、これらが破滅につながることを予言して抗議したのですが、誰も彼女の言うことを信じませんでした。

 


zicoギリシャ神話は「ど素人」ですが、確かに現代でもカサンドラさんの状況はよく起こっているように思いますね。

“予言能力”ということで、現実感が(良い意味?)薄められてしまってますが、アポローンは神で、カサンドラさんは人間な訳でしょうし、永遠に愛される、ことのないことを悟ったカサンドラさんは、(予知能力云々は別に) 凄く理性的な判断をされる方だったのかも、ですね。。。

もう一歩進めて、(かなり穿ちすぎな気もしますが)、カサンドラさんは、”愛は永遠に続かない”という東洋的?な”諸行無常”を悟ってしまったからこそ、西洋的?な当時の”永遠の天国(ユートピア)”論者から徹底的に叩かれ、ギリシャ神話の作家にさえ神話上で酷い試練を受けた。。。というような仮説も検証の価値があるのかもしれませんですね。。。


 

yukinaうーん、なるほど

カサンドラは、「嫌なことを言って、みんなから叩かれる」象徴ではなくて、不遇を受け入れる例え、というわけですね。

ギリシアやポンペイ、享楽的な生き方を肯定する社会では、東洋の仏教的な、「常ならず」を体現している存在は、それだけで疎ましかったのかもしれません。

カサンドラの絵をみてみると、絵画では、両手で髪を天に向かってかきあげ、微妙な表情をしています。怒り、悲しみ、恐れ、悲壮でもなくて、どちらかと言えば「無」でしょうか?画家はカサンドラの心中を推し量っていたのかもしれませんね。

 

 

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