バカボンダ  世界を見た女の地球放浪記

2015.5.14

窓際族のススメ 2 UK滞在記

yukina

イタリア語で通路側の席をコリドイオといいます。飛行機にチェックインする際は、フィネストリーノ(窓際の席)か、コリドイオかと聞かれます。大雑把なイタリア人は、懇切丁寧にお客の好みなぞ聞いてくれることはないので、たいていの場合、自分で好みを告げなければいけません。

トイレに行く際の便利さ、着陸後のフットワークの良さから、私はいつもコリドイオを希望しています。

が、しかし、チェックインの時間が遅かったり、様々な事情でフィネストリーノ、窓際にならざるを得ないことがあります。不便を我慢していると「窓際も悪くない」と思える意外な効用を発見し、まさに「塞翁が馬」だなと一人納得する瞬間もあるのです。

それは、息を呑むほどの美しい風景を窓から眺めたときです。

特に窓際からの眺めが楽しいのはローマです。着陸態勢に入り、高度を下げると、ローマの歴史地区の上空「すれすれ」に飛行航路を取ることがある。サンピエトロ大聖堂、コロッセオ、サンタンジェロ城などが眼下に見えます。まさに手を伸ばせば届きそうなくらいで、思わず「絶景かな」と叫びたくなるのです。街自体が遺跡で溢れているローマは一度で良いから、空から眺めることをお勧めします。

ローマのような大都市ではなく、島に行くときも窓際確保をお勧めします。街並みだけでなく、海岸線の美しさ、海の青さも堪能できるからです。

この夏はイタリア本土のみならず、島を放浪しました。シチリアもサルデーニャも島なので、すかさず窓際の席をとりました。ミラノを起点に考えればわずか数時間のフライトで、一度席につき、シートベルトをしめれば、滅多に席を立つことはありません。

白い雲の間から眺めるシチリアの海岸、サルデニアの荒々しい山とこれとコントラストを成す紺碧の海岸・・やっぱり窓際だなぁと思いながら私は夢中でカメラのシャッターを押しました。

 

さて、今回のUK入りも3時間程度のフライトですが、当然ながら窓際を取りました。

離陸してすぐに、ミラノ第二の空港である、リナーテ全景を眺め、たった今引き払ってきた自分のアパートメントがあるミラノの街並みが手に取るように見えました。

コモ湖、アルプスの山々を越えると、のどかなフランスの田園が眼下に広がります。機長のアナウンスがあり、ドーバー海峡を越えるといわれました。フランスの海岸線は思いのほかシンプルで、残念ながらモンサンミッシェルを眺めることはできませんでした。

ドーバー海峡は意外に短かったのです。国を隔てる海峡というよりも、ちょっとした湖を渡るという方が適切なくらい、近い距離です。この湖、もとい海の向こう側、対岸がイギリスになります。イギリスの海岸線は一直線です。みたところ砂浜ではなく、断崖絶壁が延々と広がっています。そこから数分でガトウィック空港に着くのです。

窓の下にはイギリスの田園が広がっていました。牧草地は木立で仕切られて、クッションやこたつカバーでお馴染みのパッチワークを思いだしました。緑鮮やかな一つ一つのパッチには羊が白く点々と見えています。

イタリアの田園はただ、だだっ広い緑地が広がっている・・そんなイメージです。しかし、イギリスは田園の区切りからして違うのです。おそらく、境界をはっきりさせるためでしょう、糸杉のような木が、緑のパッチの境に沿って、規則正しく植えられています。

「しごとキッチリ・・・」思わずそんなフレーズが頭に浮かんできました。

規則正しい畑の向こうに、これまた規則正しく並んだ住居郡が見えます。どの家もチムニー(煙突)が印象的で、チムチムニー、チムチムニー・・のメロディーが頭に流れ、その瞬間、飛行機がガガッと着陸しました。一瞬「アッ、しまった!」と思いました。

ノリのいいラテン気質の私が、短調をBGMにして、新しい国に入国してしまったのです、あぁ、なんという失態でしょうか・・・。

 

これは2005年のイギリス滞在記録の抜粋です。

UK滞在記全文あるいは他国への旅行記はこちらをご参照ください。

http://yukina-s.com/global/index.html

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