2015.5.25
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このスーパー、マークスアンドスペンサーで、何が驚いたかというと、できあい品があまりにも多いのです。野菜、肉にしても原材料の状態で小売するのではなく、加工した半製品として売っています。野菜も既にカットしたものがパック詰めになって売っており、単品で買うことの方が難しいのです。
料理するにあたっては、結局、切って使うのだから、野菜もあらかじめ切って売った方がいい。合理的という観点からすれば、全くその通りです。イギリスらしい合理性の精神の表れか、それとも単にロンドンで働く女性が忙しいからか、はたまた料理にエネルギーと時間をかけるという、イタリア人のようなパッションが無いからか、理由はイマイチはっきりしないのですが、ともかく、このでき合い製品の多さには少々面食らいました。
イタリアでは、私は毎週メルカート(市場)で、八百屋のあんちゃんから、野菜を量り売りしてもらっていました。切り売りパックから、これはあるだろうと思ったハーブや野菜を探しても見つけることができませんでした。では、代用品・・と思っても、このサブスティチュート(代用品)すら見つけられないのです。料理人としては、かなり戸惑い、同時にちょっぴりさびしい感じもしました。
イタリアンといえば、パスタは欠かせないのです。パスタコーナーをチェックしてみると、これまたびっくりでした。売り場のほんのひと隅、わずか3段程度のスペースに申し訳程度にパスタが数種類並べられているだけなのです。あな、かなしや、英国パスタでありました。イタリアのスーパーが、リゾット用の米にほぼ通路一面、パスタには二面ほど費やしている気合とはエライ違いなのです。
代わって、このスーパーは肉中心の加工品に一列、紅茶に一列、そしてマフィン、スコーン、パンなどイギリスを代表する穀物製品に数列使っていました。
レジを待つ列(キュー)に人は一列で並び、空いたレジスターの番号が放送されます・・合理的で、時間、スペースともに無駄なく、何もかもが良く機能するシステムです。
イタリアでは、毎週、長い列を作ってさんざん待って、八百屋のお兄ちゃんと会話をしながら、だらだら買い物をしていました。無駄だらけのシステムで手に入れた野菜は、苦労の味?とまではいかないが、それなりにおいしかったのです。
おそらく、不合理さも、手間隙も、多くの無駄も、あの深く濃く、豊かな野菜の味わいを作り出すには不可欠だったのだなぁ、とぼんやりと思いました。
これは2005年のイギリス滞在記録の抜粋です。
UK滞在記全文あるいは他国への旅行記はこちらをご参照ください。
http://yukina-s.com/global/index.html