2015.5.26
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料理人ではありますが、これまでレシピを公開することは、ほとんどありませんでした。たいした理由はないのですが、思うに、料理は日常生活の一部なので、取り立ててピックアップしようと思わなかったからでしょう。
自分が当たり前と思っていたことが、実は他の人にとっては当たり前ではなかった・・・、こうした経験はよくあります。料理はその最たる例です。ごくごく「あたりまえ」のことが、あえて他人に教える価値がある、大げさに言えば、伝授するべき「秘訣」になったりします。料理の世界では、とりわけそれが顕著なのでしょう。
イタリアンで人をもてなすとき、私が必ず作る一品は「カプレーゼ」(カプリ風の前菜)です。なぜコレを作るのか?というと・・・何よりもまず、超簡単であること、失敗がないこと、材料費が安いこと、見た目が美しいこと、これぞイタリアンという味を堪能してもらえること・・・といいこと尽くしなのです。
東京の、ちょっと「こじゃれた」イタリアンレストランに行くと、メニューに必ずこれが載っています。ひとくち分チョコチョコっと盛った皿が千円以上します。カプレーゼが超簡単料理だと知っているので、私は滅多にこれを注文しません。マリネかカポナータの方が、手間隙かかっているという意味で、まだ「注文しがい」があるとい思うのです。
前置きはこのくらいで、レシピを紹介しましょう。トマトは丸のままヘタ部分を除き輪切りにする。モツァレラチーズも同様、薄く輪切りにし、トマトの上に乗せます。バジルの葉をさっと洗って水気を切り、モツァレラの上に乗せます。その上に塩・粗引き黒胡椒をかけて、オリーブオイルをかけます。
書いていても、これをレシピと呼べるのかと思うほど簡単で、これを失敗する人には、何ゆえ失敗するか、教えて欲しいくらいです。
失敗するとすれば、トマト、モツァレラを切ったときに、水気をきらないでお皿が水浸しになったとか、賞味期限を10年も過ぎた風味の無いオリーブオイルを使ったとか、そのような理由でしょう。どれも料理以前の問題だと思います。
素人が間違いやすいのはバジルの扱い方でしょう。葉っぱが大きい場合は細かく切って構いません。しかし、このとき包丁を使ってはいけないのです。ハーブは金気を嫌うので、手でちぎるようにします。ジェノバペーストも作る時は「木しゃもじ」を使います。
イタリアでは、バジルはガサっと枝ごと売っています。一つ一つの葉っぱも大きくて厚みとツヤがあります。同じバジルでも、東京では数枚単位でこじんまりと売られていのです。してみると、バジルの質自体がカプレーゼの味を左右する、といえるのかもしれません。
これは2005年のイギリス滞在記録の抜粋です。
UK滞在記全文あるいは他国への旅行記はこちらをご参照ください。
http://yukina-s.com/global/index.html