バカボンダ  世界を見た女の地球放浪記

2015.6.2

嵐が丘 21 UK滞在記

Abadine 046前回もお話した、過去の失敗と後悔があったので、今回のUK滞在では、私は素直に「シスターメアリーの教え」に従うことにしました。

彼女の教えとは、一面のヒース畑を、ヒースの群生を見に行くことです。

思えば今の私と同じような境遇だったのではないでしょうか?園芸好きの姉は5年勤めた電機メーカーを退職し、ガーデニングのメッカ、イギリスに単身留学しました。UKのみならずヨーロッパの国々も放浪したようです。当時大学生だった私に写真を見せて、彼女の海外生活を語ってくれました。まだ見ぬ異国はエキサイティングで、私の「漂白の思い」を駆り立てるには十分でした。

紫のじゅうたんの中にシスターメアリーがいる・・これは、ヒース畑の写真を姉に見せられたとき、最初に抱いた印象でした。ヒースは木というよりも芝に近いのです。野生のヒースは地面に密着するように生え、小さな紫の点を集めた花を咲かせます。一つ一つの細かな花が一斉に咲くと、あたかも紫の霞ができたようでした。

「嵐が丘」の舞台になった所なんだよ・・とわが姉のメアリーが語りました。一面のヒース畑が見れるのは7月だとも言っていた。8月の中旬に、果たしてどのくらいヒースが見れるのか、まったく判りませんでした。しかし、何と言っても、シスターメアリーの教えです、今度ばかりはつべこべ言わず、従ってみるべき!こうした確たる想いが先んじて、1週間にもみたない短いUK滞在で、ヒース畑を眺めるために、私は一目散にこの舞台となったハワースを目指しました。

ご存知の方も多いと思いますが、「嵐が丘」は荒野(ムーアmoor)の物語です。ということは目指す場所は必然的に、未開のローカルな田舎になるわけです。確かにロンドンからリーズまで長距離バスを乗り継ぎ、そこからローカル線に乗り換えて、最後はバスでハワースまで上がっていきました。ざっと片道6時間の道のりです。

思えば遠くへきたもんだ、と思わず口ずさみたくなりました。かつての不動産実務をつんでいた、ドサ周り時代と違うのは、私の周囲に、工事現場のクレーンではなく、美しい別荘が並んでいることでしょうか。どの家も綺麗に手入れされた庭をもって、どうぞ見てくださいといわんばかりの行き届いたガーデニング作品でした。

 

写真はUKの温室ガーデニング

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