2015.6.3
«バカボンダ 世界を見た女の地球放浪記一覧へ « 投稿一覧へ
8月のアジサイ、書いていても何となくしっくり来ないのですが、 8月のヒマワリではなくて、アジサイです。冬の長いUKでは5月が過ぎると一斉に花が咲き始めます、盛りは7月、8月、ですのでUKの夏は至るところ花であふれているのです、こんな内容をガイドブックで読みました。
その言葉どおり、なるほど何処もかしこもアジサイで溢れているのです。青紫、赤紫、水色、青、白とアジサイのバリエーションも豊富で、どの家も必ずと言っていいほどアジサイを使ってガーデニングをしています。
突然ですが、ミラノに移る直前まで、私が住んでいたのは井の頭線の沿線でした。東京近辺を仕事でドサ周り・・・ではなくて、現地調査している間に、住むならば井の頭線がいいと思いました。日本の梅雨時、6月から7月の終わりまでは、私が最も苦手とする時期です。このときばかりは、私は日本に住めないなあと思うのです。連日の雨と湿気は人の気を狂わせるようで、私は平静を保つために、日本脱出計画を真剣に考えるほどです。
ある梅雨の雨の日、京王井の頭線に乗って眉間に皺を寄せ、憂鬱な気分に浸っていると、まばゆい紫が目に飛び込んできました。アジサイです。駅のプラットホームの両サイドにアジサイが一面に咲いているのです。ピンク、水色、紫とその色彩の美しさに私はしばし一瞬の「うつ」を忘れたほどでした。さらに驚いたのは、井の頭線のほとんどの駅が同様に、両サイドにあじさいの植え込みをやっていたことです。
渋谷から吉祥寺まで約20分、思わず何度か往復しようかしら・・と思ったほど、梅雨時のアジサイはきれいでした。
井の頭線はさておいて、キースレイという鉄道駅から、ここハワースまでの丘陵はすばらしい眺めです。青空の下、太陽の光を燦燦と浴びた、色とりどりのアジサイを見ることができます。曇天のなか、雨のしずくに打たれた花ではないのです。雨のアジサイが日本の風物なら、8月のアジサイは、まさにイギリスの名物といえるのではないでしょうか?
花の時期は9月頃までだそうです。6月からわずか数ヶ月の間、UKに暮らす人々は、花咲く時期を待ちわびて、長い冬を過ごすのでしょう。夏の訪れを、待ってましたとばかりに、ここに暮らす人々は、手塩にかけて庭を手入れするのでしょう。さぁウチの庭の綺麗な花を見てくださいと、どの家のテラスも無言で語りかけています。なるほど英国でガーデニングが発達するわけだなぁと、私は、一人で納得したのでした。
これは2005年のイギリス滞在記録の抜粋です。
UK滞在記全文あるいは他国への旅行記はこちらをご参照ください。
http://yukina-s.com/global/index.html