サラリーマンの頂点を極めた女  日本一幸せなサラリーマン

2014.10.28

一石三鳥、四鳥は当たり前!3ファン・ハール監督の落とし方‐オランダ人のビジネス哲学‐

yukina私たちが出会ったのは、私が以前、勤めていたドイツ系の不動産銀行、そのフランクフルト本社でした。

金曜日の夜にみんなが帰った後、デスクに向かい一人仕事をしていた私に、このオランダ人ミートは「今、時間はあるかい?Shall we talk a bit? 」と声をかけました。ドイツと東京の時差を考えると、その日のうちに東京にある仕事は片付けなければいけなかったのですが、私は「もちろんです!Of course, I am happy to talk to you.」と言ってミートのオフィスに行きました。

 

彼がここで聞きたかったのは、日本の不動産制度、不動産の評価制度、複雑な権利関係をどう分析するか、そういった専門分野に関する話題でした。

私もこういう話をとことんすることは好きなので、ボードにイラストを書き、日本とドイツの土地制度の違いをとことん議論しあいました。私たちの議論は数時間にも及んだと思いますが、私のこうした態度は、多いにこのオランダ人を満足させたようでした。

その数ヶ月後、彼が会社を去って別の会社に移ったと聞きました。さらにそこから数ヶ月して、外資ではよくあることですが、この上司から「いっしょにこの(新しい会社で)日本のビジネスを手伝ってくれないか?」とスカウトされました。

そこで私はこの最初の出会いの意味を思ったのです。この上司はそれ以前から、日本の市場を重要視しており、そこできちんと現地の内容を理解し、プロとして働いてくれる専門家を探していたのです。ですから、最初の議論は面接の役割もあったのです。この上司としては日本についての知識を得るだけでなく、さらに私の知識とコミュニケーションスキル、加えて、働くことへのスタンスを推し量る、一石三鳥の機会として、この最初のミーティングを捉えていたのです。

このオランダ人、ミートはあるとき私にいいました。「私は、自分のチームの部下を自宅に招くことにしている、そうすることによって、部下は私の生活環境を通じて私の,『人となり』を判断し、より効率的に、効果的に働くにはどうすればいいか、そう考えるようになるからだ・・・」

これもオランダ人の一石三鳥の国民性を表しています。人を招く、そこにはいろいろな意味・目的がある。招かないよりも、招いたほうがいい仕事ができる、だから招くのだ・・・これは裏を返すとこのような意味なのです。

「この私の真意を理解しないで、私の居住環境から私の人となりを推し量らず、私が望まない行動、パフォーマンスをする部下は私の哲学を理解しない、そういわざるを得ない・・・こういう人とは仕事はできないだろう・・・」

日本人に限らず、このメッセージを読み取る人間は少ないのではないでしょうか?

そしてただ、家に呼ばれ、家の中から何も学ばず、ただ飲食をして帰ってきてしまうのです。

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